睡眠8時間を切る中学生は、けがが約1.7倍。練習より先に寝かせる
伸ばすための一番安いレバーは、練習の追加ではなく就寝時刻を30分早めることです。
中高生アスリートを対象としたMilewskiらの研究(Journal of Pediatric Orthopaedics, 2014)で、1晩あたりの睡眠が8時間未満の選手は、8時間以上の選手に比べてけがをする確率が約1.7倍高いという結果が報告されました。多変量解析の結果、傷害を最もよく予測したのは1晩あたりの睡眠時間と学年であって、練習量ではなかった——この点がこの研究のインパクトでした。
理由は単純で、体の修復も、練習で覚えた動きの定着も、寝ている間に進むからです。技術練習をした日ほど、睡眠を削るとその日の練習が定着しません。夜に居残り自主練をして就寝が遅れるのは、練習を「した」ぶんだけ「消して」いる状態に近い。
米国睡眠医学会(AASM)が示す推奨睡眠時間は、6〜12歳が24時間あたり9〜12時間、13〜18歳が8〜10時間。小学生の推奨のほうが中学生より長い点に注意してください。中学生で部活と塾が重なると現実的に厳しい数字ですが、だからこそ削る先を練習側に取ることが判断として合理的になります。
手をつけやすいのは寝る前の90分です。入浴のタイミング(就寝の1〜2時間前に上がると寝つきやすい)、画面を見る時間、夕食の時刻。この3つを動かすだけで、就寝時刻は30分前後動きます。
親が気をつけること
「もっと練習しろ」より「もう寝ろ」のほうが、統計的には強い介入です。
出典・参考
- Milewski et al. (2014)|Chronic lack of sleep is associated with increased sports injuries in adolescent athletes(J Pediatr Orthop) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25028798/
- American Academy of Sleep Medicine|Child Sleep Duration Health Advisory(推奨睡眠時間) https://aasm.org/advocacy/position-statements/child-sleep-duration-health-advisory/
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